MY HOME TOWN

志摩の暮らし

強くなった今なら

職場のキーボードカバーを、ちくちく手縫いしてたら、
いつも針仕事をしていた祖母を思い出した。

祖父は、長男の父が三歳のときに亡くなったと聞いた。
祖母は、岡山で五人の子どもたちを、
ひとりで必死で育ててきたのだと想像ができる。

高価なものは何ももっていなかったから、
祖母から形見にしてと渡されたものは、
縁日で売っているような、
ゴムとビーズで出来たブレスレット。

私が二十歳の頃の話しだから、
まだ日本は景気もよくて
ブランド物があふれている時代。

おもちゃのブレスレットをもらって
喜んだとは思えないけど、
今も持っている。



布団も、何度も打ち直して使ってた。
ミシンじゃなくてなんでも手縫い。


そんな祖母が、入院していた時に、
「縫い物がしたい」
と言った。

私は、看護士さん(当時は看護婦さん)に、
針と糸を持って来ていいか?と聞いた。

予想通り
「針は危ないのでだめです」
と言われた。

無くしてしまっては危ないから、
しょうがないなと私も納得した。

そのことを伝えると、
祖母は悲しい顔した。





「私が最後まで責任をもって見てます。
針は、ちゃんと片付けますから」
と、二十歳の私には言えなかった。


数時間、私が見ていれば、
死への恐怖が少し和らいだかもしれないのに。

私がもっとしっかりしていれば。


と、思い出したら涙がこぼれた。


泣きながら縫い物をしていたら、
30年も前のことを思い出して泣いてる?
と、もう、なんで泣いてるのかもわからなくなってきた。



強くなってしまった今なら

してあげられることがいっぱいあるのに。









 






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  1. 2015/09/18(金) 20:36:56|
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